2014年3月31日月曜日

同じ顔の安心感

今日からテレビもラジオも新クール。OHKの『もんぜんまっぷ』も月〜水に曜日の引っ越しをします。まぎらわしいですねぇ……局の都合で視聴者が振り回される。お年寄りや主婦にとって、番組やコーナー、CMさえも時計代わりだと思うんですが、緻密な数字とりを放送局同士がやっちゃうから、一番大事な人たちが犠牲になるんですね。番組開始も2時!といえば気楽なのに1時56分からなんて番組が増えましたよね。中途半端で弱ります。

その点、ラジオは定番という流れがちゃんとしています。私なんか、数局の番組表が言えますもんね。次のCMはこれ!って鼻歌で歌えたりね。ラジオもテレビも時を刻むものだという認識、そろそろ再考したほうよいと思います。じゃないと本気でテレビは終わっちゃいますよ。他局と比べる(競争する)からよくならないのです。そのくせつまらんCMにどんどん時間を割いている。もったいないことです。



その流れは人事異動についてちょっと考えてみましょう。戦後、西洋の文化と汚職を恐れてほとんどの企業が人事異動に積極的になりました。慣れ合いからの癒着をとことん恐れた結果です。しかしその人事異動のせいで、引き継ぎに時間を要し、慣れない部署での新しい職務にレベルは低下、おまけに顧客には多大なる迷惑をかけてしまいます。

このやり方は日本の寺院とまったく異なります。「いつも同じ顔」であることが檀信徒の安心であり、できれば不動の活躍を約束してほしいと願われます。また仏壇屋、石材屋、葬儀屋も「同じ顔」である安心の上に成り立っています。それは気付きにくいことですが、日常における時間のスパーンが非常に長いことが要因となっています。たびたびあることではない仏事やご不幸にまず「安心」が求めれるのです。位牌に夫婦の戒名を刻む。しかし同時に旅立つことは稀なわけで、その位牌を同じ顔、同じ手が関わってくれる安心。そこから懐かしい話が弾んで、また心を開いたお付き合いが生まれる。

日本って元来、そういう文化の国だと思います。情がなくなった……それは数字や利益を追い過ぎて「定着」を軽んじた結果でしょう。そんな企業や文化の中に先祖供養をねじ込むから歪な信仰しか残らなくなるのです。

天野こうゆう『ほほえみほとけ展〜 お坊さんがつくる縁起物』

・期間3/29(土)から4/21(月)  店休日 4/1(火)4/3(木)
・営業時間10:30から18:30まで
はせがわ銀座ギャラリー


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2014年3月30日日曜日

銀座で個展、銀座で法話

桜の咲き始めた東京で昨日から個展が始まりました。初の銀座での展示、不安以上に期待膨らむドキドキのオープンとなりました。

一昨日は搬入とディスプレイ、そして当日は9時半から『はせがわ銀座ギャラリー』の朝礼から参加。ガイアの夜明けでも紹介された日本一の仏壇屋、やっぱり一流企業はすごいの一言。お勤めから始まり、社訓、社歌、1分間スピーチ、さすがです。その後、スタッフに作品の取り扱いについてレクチャー。



10時半のオープン予定を少し早めて開催しました。とにかく客層が広い。お年寄りからOL、エステの社長さんから画廊の店主、坊さんから外国人までやっぱり銀座はすごいです。そしてお年寄りが元気です。キレイにおしゃれをして背中をピンと伸ばして、銀座界隈を散歩コースになさっているのです。興味のあるものには足を止めて会話を弾ませる。そんな日常にも驚きですが「一番安全で豊かなコースなのよね」とご婦人。「銀座に法衣でお坊さんが相手をしてくれるんなんて」と喜んでくださる人もいらっしゃいました。

3時から6階のはせがわギャラリー(超セキュリティの宝物館)で特別法話会。花祭りの縁起、お釈迦のお生まれ、蓮の三徳、桜問答などなど、質疑応答も含めてじっくり1時間半お話しさせていただきました。

最終の新幹線で帰山でしました。心地よい疲労感、手応えはなかなか、おかげさまで作品がすでに不足気味なので追作に勤しみます。また来週、上京いたします。さて法事に行ってまいります。

天野こうゆう『ほほえみほとけ展〜 お坊さんがつくる縁起物』

・期間3/29(土)から4/21(月)  店休日 4/1(火)4/3(木)
・営業時間10:30から18:30まで
はせがわ銀座ギャラリー


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2014年3月29日土曜日

本日開催!

昨日から上京しています。そしていよいよ本日から東京銀座・はせがわギャラリーにて個展を開催いたします。今回は、土ほとけ、縁起物を中心に『花祭り』をテーマに華やかな展示をしました。『寺の妖怪』という異分野のさんk

とにかく銀座の一等地、田舎の仏壇屋のイメージはぜんぶ微塵となる空間。客層も幅広く外国人も多数やってきます。画廊や百貨店など同業種のチェックもあるし、お坊さんの来店も多いこの空間でどこまでほほえんでいただけるか、いざ勝負です。



午後3時からは6階にあるミュージアム(法具や仏像の修復展示場)で20席限定の法話会も開催します。花や桜にまつわる話題から、高野山のお話に展開できたらと考えていますが、場の雰囲気でリクエストや質疑応答に答える仏教カフェ形式もおもしろいかなぁと考えています。

天野こうゆう『ほほえみほとけ展〜 お坊さんがつくる縁起物』

・期間3/29(土)から4/21(月)  店休日 4/1(火)4/3(木)
・営業時間10:30から18:30まで
はせがわ銀座ギャラリー


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2014年3月27日木曜日

こうゆう縁起物図鑑①『うすさま明王』

本日は10時から祈願護摩を勤めます。29日(土)は銀座はせがわギャラリーにて個展の初日を迎えます。15時より記念法話会(無料)を開きます。質疑応答もございます。ぜひご参加ください。


坊さん玩具 こうゆう縁起物図鑑①『うすさま明王』



うすさまは、もともと火の神で大日如来さまという偉い仏さまにずいぶん張り合っていました。しかし実力は歴然、大日如来さまのほうがはるかに上回っていました。

ある時、大日如来さまの説法会がありました。うすさまは「ワシのほうが格上」だと罵詈雑言を吐いて我が家にこもってしまいました。大日如来さまは、不動明王を使いにだして説得に迎えに出しました。うすさまは言うことを聞かず、こともあろうに大量の糞尿をまき散らして囲いとし「この不浄には太刀打ち出来まい」と挑発しました。

すると不動明王は「本来、不浄などあるものか!」と全ての糞尿を平然と飲み干して浄め、慌てるうすさまを捕まえて大日如来さまの前に突き出しました。大日如来さまは「穢れは心によるもの。たとえ糞尿といえどこの大宇宙の摂理にはなくてはならぬもの」と説きました。うすさまさまは、自分の器の小ささに気づき改心し「一番不浄な場所で浄める役割を買って出ました」それが厠、のちの便所を守護する神となりました。

俗にいう『トイレの神様』とはこのうすさま明王をさし、便所を美しく保つと幸運が訪れると云われています。ただし、うすさま明王が浄めるのは糞尿のみなので、便所にツバやタバコなど他の不浄を捨てるとその怒りにふれて、下の病や床から離れられないようになるという説もあります。

真言は「オン クロダノウ ウンジャク」、排便できることに感謝し、心身の穢れを清浄にしてくださいと願いましょう。



◎銀座で法話会をやります!『ほほえみほとけ展・記念法話会
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2014年3月26日水曜日

東京で個展をやります

明日は朝10:00から、3月の高蔵寺月例祈願『お不動さん』をお勤めします。護摩法要と法話、そしてお接待がございます。ぜひお参りください。

さて、今月29日から東京銀座・はせがわギャラリーにて個展を開催します。今回は、土ほとけ、縁起物、書画を中心に『花祭り』をテーマに華やかな展示を予定しております。

特に力を入れているのが、立体物(土ほとけ、縁起物など)です。神仏を粘土や張り子、陶土をつかい、かわいいお姿を表現しています。これらは仏壇に祀るという目的ではなく、身近に舞い降りてきたイメージを形にしました。そばに置いているだけで、ホッとしたりハッとしたり、一輪挿しのお花のような生活に潤いを与えてくれます。作家活動を始めてもう15年、自分の作品がさまざまな場面で活躍してくれていることを嬉しく思っています。お話や歌はその場の感動に尽きますが、形の残る作品は常にドラマを産んでくれます。

先日も縁起物の『トイレの神さま・うすさま明王』をお買い求めくださった方から「最初はトイレに飾るのは抵抗があったけれど、目にすると『あ、掃除しなきゃ、キレイにしなきゃ』と思うんです。自然に『見守ってください』って気持ちにもなるし、よそのトイレもちょっとキレイにしてあげたくなるんです。」と楽しそうに語ってくださいました。


天野こうゆう『ほほえみほとけ展〜 お坊さんがつくる縁起物』

・期間3/29(土)から4/21(月)  店休日 4/1(火)4/3(木)
・営業時間10:30から18:30まで
はせがわ銀座ギャラリー


私の作品は生活空間における「心のサプリメント」だと思います。ぜひ、一人でも多くの方に実物を手にとってご覧いいただきたく願っております。無料の法話会も行いますのでぜひお運びください。

明日は「うすさま明王」についてちょっと説いてみたいと思います。



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2014年3月25日火曜日

OHK『もんぜんまっぷ』で学ぶこと

去年の7月から岡山放送で『もんぜんまっぷ』というコーナーを担当しています。岡山・香川の寺社の門前を散策して、信仰や歴史、その土地の名物をNMB48の女の子と一緒に学ぶという内容です。坊さんとアイドルという異色のコラボが話題となり、エリアのみにとどまらず、ネットなどで全国のファンに支持されるようになりました。

元はといえば、その前からコメンテーターや法話のコーナーを担当していて、スタッフから「もっとこうゆうさんらしいコーナーを!」とお声をいただき、アイデアを出し合って今の形になりました。当初はアイドルと組むのではなく、アナウンサーとの共演でまとまっていました。それがロケ寸前にこの体制で収録することを知らされました。悩むヒマもなかった……これが正直な気持ちです。

台本なしのぶっつけ本番、最初のメンバー・高野祐衣ちゃんとも当日初めてお会いしました。彼女も何をやっていいのかわからない状態だったと思います。会話をしながら、仏教やお寺のことを48に比喩して懸命に説きました。彼女も上手に場をほぐしながら、自然体でやってくれました。緊張と斬新の間で2人とも出来ることを精一杯にやりきった……今でもあの初回が一番気に入っています。



この番組は『エブリのまち』という情報番組の1コーナーにすぎません。時間にすれば週に3日、10分程度のオンエアです。しかしネットでは動画のアップロード(YouTubeで検索すれば膨大な数がヒットします)が後を絶たず、みるみるうちに浸透していきました。もちろんアイドルの共演だからこその拡大ですが、小さくても「坊さん」を身近に感じていただく格好の場面となっていることに間違いはないでしょう。

賛否両論はございます。でも10代の彼女たちが私に学ぶことは、視聴者も今さら訊けない当たり前を学ぶこととなり、世代を超えて門前に集うムーブメントが起こりつつあります。その証拠に年配の女性から「中学生の孫娘が週末いっしょにテレビでやっていたお寺に行ってみたい」とお手紙を頂いたり、高蔵寺の縁日にNMBファンの人達がお参りくださったりしています。そして何より良い番組とは、予算や知名度ではなく発想とセンス、そして作り手の一体感。目指す部分の「矛先/ほこさき」が同じであれば、何十倍もの評価となって現れることを学ばせてもらっています。


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2014年3月24日月曜日

たとえ小さくても

ゲームの『モンスターハンター』やコミックの『進撃の巨人』に見られるように、主人公より巨大な的に立ち向かう物語が流行っています。ペプシコーラのCMでしたか新しい解釈で鬼退治に挑む『桃太郎』の鬼もバカでかい敵キャラです。日本人にとって小さな者が大きな者を倒したり、やりこめるのは好まれる美学なのかもしれません。別に倒さなくても、弱小が巨大な何かに挑んだり、逆手をとることは痛快な話題です。



空海密教では、小さく非力な者でも大きな者をうまく活用して新しい世界を見ること出来るとおっしゃっています。

鳳凰(ほうおう)につきて天涯(てんがい)にいたる

これが代表的なお言葉です。小さな蚊のような虫でさも、空を覆いつくすような鳳凰にひっつけば天空から世界を見渡すことが出来る。長距離でも自在に移動することが出来るとも解釈できます。現代に置き換えれば、私たちはさまざまな文明の利器(鳳凰)の活用して自らの力を超えた活躍をさせて頂いています……が、その目的や目標を見誤って陳腐な限界を天涯と錯覚している人が多いような気がします。



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2014年3月23日日曜日

仏壇は小さなお寺

毎日ラジオを聴いていると季節の話題が豊富に飛び込んできます。法話の出足にけっこう役立つ話題も多く、なるべく耳を傾けます。テレビの場合は出演者の私感が多いような気がするので、ミュートにして画像から言葉を組み立てます。大げさなことはしていませんが、日々の布教道を訊ねられたらこれくらいのことでしょうか。

彼岸になると、あちらこちらで彼岸の話題が出てきます。とくに春到来を告げる話題として、秋よりは聴く機会がグッと増えます。どの番組も季節の「風物」としての触れ方で、仏教的な部分はイントロダクションに過ぎません。あえて触れたとしても「宗派、地域によって解釈は異なります」の文言付きが多い。当り障りのない結論をみない展開ばかりです。

この一週間、ニッポン放送『鈴木杏樹のいってらっしゃい』も彼岸特集でした。この番組は10分程度なのですが、構成と言葉の美しさ、そして彼女の上品さが際立つ良い番組だと私は思っています。さりげないのですが、スッと心に残るんです。

さすがに「彼岸」が難しいだろうとちょっと斜に構えて聴きましたが、なかなか上手くまとまっていましたし、その結論立てもしっかりしていました。やんわりとした流れの中に「逃げ」がないのです。金曜日が(彼岸特集の)最終回でしたが「仏壇は家の中の小さなお寺」と位置づけ、大切な物だと説いていました。随所に「宗派によって」というセリフはあったと思いますが、原点に終始した展開はアッパレでした。



坊さんは「宗派の違い」に甘んじています。そこをウヤムヤにして自分の宗派すらお粗末にする。ここに挙げた「仏壇」においてもさまざまな見解に分かれます。宗派には歴史があり、そこに伝わる決まりがある。釈迦誕生からの宗派をうたうなら、その流れに突如ポンと生まれてきたものはないのです。宗派によっては‥‥なんてセリフを一般人が注意を促しながら語ることは、そろそろ終わりにしなければならないと思います。布教現場はそんなモヤモヤを一掃したい方々が集ってきている。布教はその先を目指すべきで、いつまでも入門前の建前説法をしていてならない。仏壇、位牌、墓、これをきっちり変わらず堂々と説ける宗派はちゃんと自宗を名乗って説くべきだと思います。逃げちゃダメなんですよ、坊さんは。


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2014年3月22日土曜日

まだ早いじゃもう遅い

今朝は当山の「こども寺子屋」の卒業式でした。とはいっても普段と変わらないのですが、証書と図書カード、記念品の授与式を行います。低学年から寒い日も雨の日もがんばった子供の顔は自信にあふれています。中学に行っても手伝いに来てくれる子がほとんどなのであまりしんみりはしませんが、なんとなくこみ上げる充実感は他では味わえないものだと思います。

昨日の法事の席でのこと。お寺での法要でした。私が入堂しますと、すでにその一族は星座をして待っていてくれました。小さな子までキチンとしている。それだけでずいぶん気持ちのいいものです。ふと見渡しますと2席だけ空いていました。



しばらくすると障子の向こうでお父さんの声が聞こえてきました。「ちゃんと手を洗ってこれで拭きなさい。みんな待っているから早くしなさい!」と急かしていました。「障子はその黒い部分を触りなさい。汚れるから!」とまた急かす。ずいぶんきっちりしたお父さんだなぁと感心して待っていると、驚くくらい若いお父さんでした。その子も幼い。正直たいへん驚きました。(こんな幼子にわかるのかいな?)そんな疑問が湧くほどでした。

それでもその子はお父さんの言うことを聞き、二人そろって「遅くなりました」と一礼。またまた感心してしまいました。近頃では、女性でもひざをついて戸の開け閉めができる人が減りました。居酒屋の座式などは立ったままでの注文は当たり前の時代です。そのお父さんをみて感じたことは、大人としてこちらが「まだこの子には早いかも」なんてことが考えず、小さな時からちゃんと諭すことが大事なんだということ。まだ早いで「もう遅い」は親の責任なんだと改めて思い知らされました。



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2014年3月21日金曜日

高野山の春

友人のNは高野山で働く男性(在家=僧侶ではない一般人)で、本日執り行われる『正御影供(しょうみえく)』で行列の籠をかつぐ大役を仰せつかっているそうで、そんな彼から早朝、画像メールが届きました。


かなり寒そうです。「もう春やん!」と浮かれる頃ですが、やっぱり高野山は甘くありません。ここからの寒さがとんでもなくきつかった記憶が蘇ります。

今日という日はもっとも空海さまを観じられる1日となります。今では旧暦と新暦の両方で供養がなされますが、一般的には彼岸の中日にあたる今日はたいへん盛大な法要が営まれます。これが終わると高野山に春が訪れます。

この日の由縁は、観賢(かんげん)僧正のお話にさかのぼります。観賢僧正は空海さま亡きあと、分散しつつあった高野山を1つにするべく働きかけ、朝廷には空海さまの諡名(おくりな)を下賜を求め、そして奥の院の定窟へ開け入り、御衣替えをなさりました。そのときに空海さまを拝したようすが、「生身(しょうじん)」の信仰(それまでは荼毘されたと伝わっていた)として今に伝わるようになりました。

そのお姿は尊くありがたいもので、なんとも香しい霧立ちこめる石室の中に静かに瞑想なされる空海さまの御衣は長年のご修行によって傷み、御髪も伸びておられたので投地礼拝を繰り返しながら、新しい御衣のお着替えと剃髪をお手伝いしたと云います。そのとき、同行したお弟子にはそのお姿を拝することができなかった。観賢僧正とお弟子、そして空海さまのご様子をいかに篤く説くかが、高野山本山布教師の大切な任務です。


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2014年3月20日木曜日

高野山初心者参拝ガイド

春になりました。個人で高野山にお参りなさる人も多いようです。よく参拝コースを訊かれますのでここでお答えしておきます。とは言っても旅程日程にも寄りますけどね。

まず日帰りか1泊かで内容が異なります。でもぜひ信仰としてのぜひ抑えておきたいスポットを厳選し記しておきます。音声ではこちらが参考になると思います。(きくへんろ。


  • 奥の院
  • 伽藍(根本大塔と明神社)
  • 金剛峯寺
  • 霊宝館
  • 受戒堂(大師教会)
  • 大門


時間がなければ「大門」と「金剛峯寺」を外す。もっと時間がなければ「霊宝館」を外す。いきなり外すことばかりで恐縮ですが、そう記すことで大事が見えてくるんです。高野山は空海さまが住する聖域、だから奥の院は外せない。それ以上に大事なのは「修行の道場」なわけで、そこを忘れている人が多いんです。



奥の院は空海さまが「いまも生きてお祈りくださっている聖域」です。朝と昼2回、お食事が運ばれるようすは必見です。ここでのマナーはとにかく静かにお参りすることです。なぜなら「空海さまが座禅瞑想なさっていて私たちの平和を祈っておられる」からでそのお邪魔をしてはならないのです。そしてここは時間が許すなら「一の橋」からぜひお参りして欲しいです。他にも入り口はありますが印象が全く違うのです。

そして伽藍(がらん)。ここはたくさんの諸堂があります。すべてに深い意味がありますが、とにかくぜひ味わって頂きたいのが「御影堂(みえどう)」です。このお堂が高野山でもっとも神聖だといっても過言ではありません。空海さまの時代に唯一存在していた建物だと云います。

また伽藍の奥深いところに「明神社(みょうじんしゃ)」があります。ここは高野山開山の際に空海さまがこの土地の神々に礼を尽くした浄域で、日本の神々をたたえ、仏教流布を最初にカタチにした場所です。

金剛峯寺はそのものが真言宗の象徴で、霊宝館は世界でも例をみない信仰と展示を共有させたスポット。受戒堂はなかなか一般には知られていませんが朝9時から1時間おきに(正午はお休み)真っ暗なお堂の中で菩薩の証(しるし)を授かり、法話が拝聴できるお堂です。大門は文字通り、高野山の入り口となる大門でそのスケールは圧巻です。

個人的にオススメは一の橋入り口にある「和食のおぐら」の精進料理、苅萱堂ちかくのお香屋「高野山大師堂」と袈裟をあつかう「石橋法衣店」、銘菓・みろく石と焼き餅、高野槙の露店は外せません。

以上が基本。滞在時間によって深浅はありますが、時間を忘れて「じっくり」味わって頂きたい。山上は4キロと2キロの盆地なので歩いて味わうことがオススメです。山内の修行僧は草履を履かず、下駄を使います。それは接地面積を少なくし、無意識に小動物の殺生をさけるためです。また一歩一歩歩くことを歩々(ぶぶ)といい、その一歩が罪障消滅の功徳があると云われています。

とにかく歩く、拝む(拝する)、観じる、この3つが大事。そのうえで高野山の人々と触れ合って欲しいと願います。


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2014年3月19日水曜日

ビートたけしと高野山


ずいぶん前の話になりますが、ビートたけしさんの特番で高野山が取り上げられていました。実は私が当時やっていたお遍路のラジオ番組『きくへんろ。』の収録で、そのロケと出くわしました。眼前に「世界のたけし」がいた。お山で勤める仲間に詳細を聞いて納得しました。というのも、たけしさんは毎年「日本人の信仰を問う」というテーマで特番を組んでいて、その内容はタブーとされている部分を浮き彫りにしてこられた。もちろん民放の限界はあるが、それでもなかなか衝撃的な内容だった。例えば、天皇の迎春儀礼に仏式(密教)が取り入れられているなど、一般的にはほとんど知らされないことが明かされてきました。

そこで『空海と高野山』が取り上げられたわけです。随所に仏教の豆知識を織り交ぜて、大陸、天皇、民衆の根底に流れているものを解く。ツッコミ所は満載でしたが、ここまで明確に密教を示した番組は珍しく、たけしさんらしいコメントが光ってました。「空海って、てっぺんまで行っちゃってるんだよね」というたけしさんの締めが今でも気になっています。



の番組で改めて感じたのは、整理をして説明することが大事だってこと。語弊を畏れず説くならば「日本仏教」にも整理が必要だってことです。日本仏教をバラバラにして、顕教と密教のエキスを分別して学んだり、日本仏教から真宗系を差し引いて古義密教の根本を知るとか、もうすでに「日本仏教のひと括り・ひと絡げ」ではかなり苦しい時期にきてる。誤解されたくないのですが、それは宗派間の優劣ではなく、混同すると根本の把握までにかなりの時間を要してしまうから。これからの日本に必要な仏教要素を知るキーワードはズバリ以下の通り。私自身、法話の中で折にふれて話しているキーワードでもあります。

  1. 密教と顕教の違いに気づけ
  2. 鎌倉期以前の仏教を光を当てよ
  3. 明治排仏毀釈以前の日本仏教を知れ
  4. 古義神道と密教の繋がりを正しく学べ

この番組で1つだけ足りなかった点は「高野山には、なぜ他宗の祖師や闘い合った武将の墓が寄り添って建つのか?」という疑問に対しての解答。それは密教が包括的な教えであるから。空海さまは「生かされている生命に気づき、全てを許した境地が密厳仏国であり、それはこの世なのだ」と高野山に道場を具現なさった。だからこそ、高野山が今に伝わり、いま再び人々の拠り所となっているのです。これを説かねば、雑学として「こんな考え方もあるのか」で終わってしまう。これからの時代に益々必要な教えだと掲げるなら、その立場の者はそこを説いていかねばならない。それを説ききれるのが高野山であり、真言行者なのですから。



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2014年3月18日火曜日

一願地蔵に願う

20代半ばから住職を勤めてそろそろ20年。人に歴史ありと言いますが、檀家や信者とのつながりは実にドラマティックです。

昨日は天気もよく、境内で若いお母さんが幼子を遊ばせるシーンが次々に見られました。そんな中、境内の東角にある「お大師堂」に熱心に手を合わせる親子がいました。よく見ると若い時からよく知っている娘さんでした。「久しぶり、ええお母さんになったねぇ」と声をかけるとニッコリ笑って挨拶してくれました。学生時代はかなりのヤンチャでしたが、素敵なママぶりに感心しました。

「ここのおかげでこの子を授かったんです…」そう切り出して、これまでの苦労話をいろいろ聞きました。なかなか子供を授かることが出来ず、西へ東へ治療に走り回った日々、気持ちだけが空回りする毎日だったそうです。周囲の思いやりの言葉もいつしか棘(トゲ)となり、焦りに拍車をかけました。

そんなときお父さんから「高蔵寺のお大師堂へ参れ。実はワシもオメエもここで祈願して生まれたんじゃ。ここの子授けはすげー歴史があるんじゃ。」と言われ、半信半疑で日参したのだそうです。そして今では二児の母となりました。



倉敷の西部に『河内八十八ヶ所』が点在し、その10番札所が高蔵寺の境内にあります。ここは昔から「一願地蔵」として親しまれ、大好きな何か1つを断って、日を区切って、毎日お参りすると御利益に授かれるという伝承があります。その結願(けちがん)には、瞼を閉じている石仏(お大師さまとお地蔵さま)の眼が開いて見えると云います。お寺にそれを伝える確たるものは存在しませんが、口伝てで御利益を授かった話はたくさんあります。私も母も「お籠もり(おこもり)」をして願いを叶えた経験を持ちますが、それはまたどこかの法話会でご紹介いたします。


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2014年3月17日月曜日

頑張るとはなんですか?

本日は10時から『大人の寺子屋』です読経や法話を楽しみながら学べます。気持ちのいいお天気です。ぜひお運び下さい。

一週間にわたる法話daysが無事おわりました。たくさん語りました。新しいお顔も多くご参加下さって有意義なひとときとなりました。すべてにおいて感じたことは、

  1. 法話というアプローチにはまだまだ可能性があるということ
  2. 僧侶とはなんぞや? と皆さんも迷っておられるということ
  3. 死をきっかけに生きるを学びたいと本気になっている人が数多くいること。


1についてはこれからの行動で答えを出していきたいと思います。2は僧侶自身も迷っているから、皆さんにも「?」が生まれるんじゃないかと思います。私の答えは一貫していて「ジッと拝み、祈る人」が僧侶だと考えています。それ以外はすべて余興。ゴルフも被災地訪問も僧侶だからこそと力むのはちょっと違うんじゃないかなぁと思っています。私もその余興をたくさんやっているくちですが、結局お寺にいて衣をつけて拝んでいるからこそ「おじゅっさん」と呼ばれているわけで、住む職業だからこそ住職であり、皆さんの目の前まで下りていって導く仕事ではない。背中についてきてなんぼ……じゃないかと思います。3の課題はすごく大事です。日本の仏教はしばらく「死の専門家」に成ってしまった。悲しみに付き添ってもっともらしく勤めすぎたと思います。死を見つめて生を省みなければお釈迦さまの教えは活用できません。



この一週間を通じて「頑張るってどういうことですか?」とよく訊かれました。頑張りたくても頑張れないと悩んでいる人が驚くほど多かった。何を頑張ればいいのか? この悩みの中に生きているといっても過言ではないでしょう。その答えはズバリ「あの時よりは楽」と思えるように生きることです。

頑張るとは「無理をすること」であり、その無理が後々、目の前に現れる苦難を乗り越えるエネルギーと貯えておく行為こそが「頑張る」ということだと思います。あのときよりは……そう思えるように奮起をうながす。これを毎日繰り返すことが、仏教の説く「精進」だと私は思っています。




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2014年3月16日日曜日

バカは死んでも治らない

昨夜は毎月やっている「夜の法話会」でした。カフェメニューとお酒もある空間での座談会。出たとこ勝負の法話会です。いろんな職種や年齢が集い、ざっくばらんに語り合いました。個人的には最近で一番盛り上がったような気がして大満足の一夜となりました。

テーマに「ご縁」をかかげて、お寺ではなかなか使わない俗的な例話で展開しました。涅槃や輪廻は丁重に言葉を選ぶとかえってわかりづらくなるんです。ちょっと下世話な話題から話すほうがスッと腑に落ちたりするんです。それがこういう会の魅力だと言えるでしょう。


もう少し「輪廻・りんね」について深く語るとこうなります。輪廻とは六道という「6つの地獄を生まれ変わり死に変わり苦しむ」ようすを言うのだけれど、たとえば俗に「バカは死ななきゃ治らない」というセリフから検証してみるとどうなるか。仏教的にいえば「死んで治るなら覚者(かくしゃ=悟りを開いた人)」であって、呆れた場面で使うのではなく、悟りなさいよ!というエールにもとれるわけです。

こう考えれば、六道を輪廻するということはズバリ「バカは死んでも治らない」ということ。善くなろうという意識をすてて永久に愚行を繰り返すのみ。これは性格だけではなく、身体を鍛えたり、知識を磨いたりする部分にも当てはまる。要はこの世においてどう命を燃焼させて次へ生かすのか? ここで気づかなきゃやっぱり「バカは死んでも治らない」ってことなるわけです。

さて、今日はまたまたガラッと雰囲気を変えて、倉敷美観地区にある古民家カフェで『くらしき仏教カフェ』を開催します。こちらは時間の半分以上を参加者の質問にお答えするという実験的な法話会です。まだお席に余裕があるようですので、ぜひお越し下さいませ。

◎3月の『くらしき仏教カフェ』
  • 日 時  3月16日(日)午後3時〜
  • 会 場  夢空間はしまや(倉敷市東町1-20)
  • 講 師  天野こうゆう(高蔵寺住職)
  • 内 容  法話、仏教解説、質疑応答、プチめい想など
  • 会 費  1,500円(お茶代込)
  • 申 込  086-422-2564(必ず予約をお願いします)

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2014年3月15日土曜日

覚る、悟る。

月曜日から5日間にわたる『涅槃会/ねはんえ』の出仕が昨夜おわりました。合計6座の法話、同じお寺でここまでの連座は初めての経験でした。今のように娯楽がなかった時代、お寺で法話を聴くこと民衆の楽しみでした。時は流れ、法話は求められなくなって、このような会は姿を消していきました。

しかし地方には、この古式を辛抱強く護持しているお寺も存在します。今回お世話になったお寺もその一つ。法話の開始は夜の8時以降、しかし毎夕5時台には会所(えしょ=会場となるお寺のこと)に入り、ご馳走のお接待を受けます。ここで遠慮は御法度、能化(のうけ)として最大の施しを受けきることが会所の徳を上げることになるのです。

能化とは「のうけ」と読み、能く教化(きょうけ)をする者という意味で、ここでは法話をする布教師を指します。今のように交通の便がよくなかった時代には1週間、会所に滞在し、さまざまな接待や供養のお手伝いをしながら出番を待ったと云います。

能化には専属の若い僧侶と総代が「給仕(お接待係)」として付きます。ふだん独りでのびのび講演を渡り歩いているとなんとも窮屈な状況ですが、慣れてくるとこの古式にも深い意義を感じるようになります。



さて涅槃会(ねはんえ)は、お釈迦さまの最期を偲ぶ法要で、高野山では「常楽会(じょうらくえ)」といい、備中地方では「おねはんさん」などと呼びます。夜を徹しての法要が一般的でしたが、今では(半日程度)日中に営むお寺も多くなりました。参拝者は、お釈迦さまの威徳をいただき、涅槃についての説法を涅槃図の前で拝聴します。

私は以前、この涅槃図は自分の画法で襖に描いていたこと(天野こうゆう『仏涅槃図』製作日記)があります。何気なく涅槃図を眺めているだけでは気づかないことが描くことで知ることができました。入滅なさったお釈迦さまをを囲み、いろんな者たちが悲しみに暮れています。動物から羅漢、神々まで集っています。その表情はその立場によって違います。それはまるで「アナタは痛烈な悲しみに直面したとき、どんな姿でそれを受けとめますか?」と問いかけているかのように見えてきます。七転八倒している者から、心静かに合掌して微笑んでいる者までさまざまです。それは悲しみに直面したときの修行段階、その者の心のようすを映し出しているのです。覚悟とは正にその心象、「覚る、悟る」と表現するのはその部分を強調しているかのようです。

今日は児島のお寺の『涅槃会』に出仕してきます。そして夜は以下の法話会です。ぜひお運び下さい!

◎すべての疲れた大人のための法話会 『抜苦与楽〜ばっくよらく』
  • 日 時  3月15日(土)午後8時〜
  • 講 師  天野こうゆう(高蔵寺住職)
  • テーマ  3月は「ご縁」について考えてみよう! 
  • 内 容  法話、質疑応答など
  • 会 費  1,500円(1ドリンク代込) 

◎3月の『くらしき仏教カフェ』
  • 日 時  3月16日(日)午後3時〜
  • 会 場  夢空間はしまや(倉敷市東町1-20)
  • 講 師  天野こうゆう(高蔵寺住職)
  • 内 容  法話、仏教解説、質疑応答、プチめい想など
  • 会 費  1,500円(お茶代込)
  • 申 込  086-422-2564(必ず予約をお願いします)



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2014年3月14日金曜日

やれば出来る?

私がしょっちゅうお話しする「多用充実/たようじゅうじつ」という法話。高野山修行時代、1つのことがロクにできない私に10の仕事を同時に与えてくれた先輩がいました。口答えもできない環境の中でパニックとなり逃げ出しそうになりました。でも逃げることすらできないのが高野山。当時16才でした。

与えられた時間は決まっています。昨日は1つのことがまともに出来なかった。なのに今日は10の任務をこなさなければならない。ワーーーーッ!となって取り組みました。結果は散々、3つ程度しか出来ませんでした。この結果に先輩のゲンコツを覚悟しました。殺されるかも……本気で怯えたことを覚えています。でも、、、

先輩はほほえんで「なんや、昨日は1つも出来んかったくせに、今日は3つも出来てるやんけ。大したもんや、上出来やで」と褒めてくれました。あの日から自信をつけて今があるような気がします。あれもこれも欲張って同時にやってみる。専念なんて無理なんだ。完璧なんて自慰でしかないんだ。8割の出来だって受け手は「ありがとう」と言って下さる。「多用充実」、高野山で学んだことです。

冷たい水で雑巾がけ/こども寺子屋

よく「私にはなにも出来やしない」と嘆く人と出会います。それはただの奢(おご)りです。たちの悪い自己嫌悪と言ってもよいでしょう。主婦は同時にたくさんの食事を用意します。「米が炊けない」と弱音は吐きません。何品もの複数のオカズを「家族を喜ばせたい」という一念で毎日完成させているのです。

なにも出来やしない……それは自信があるから言えるセリフです。自身の可能性には気づいているんです。本当に出来なかったら、その場に立ち尽くし呆然とするものです。「出来ない」の言葉の裏には確たる「出来る」が存在しているのです。甘えちゃいけません。出来るんですよ。やりましょうよ、楽勝ですから。やれば出来る? いえ、出来るから取り組んでいるのです。

◎すべての疲れた大人のための法話会 『抜苦与楽〜ばっくよらく』
  • 日 時  3月15日(土)午後8時〜
  • 講 師  天野こうゆう(高蔵寺住職)
  • テーマ  3月は「ご縁」について考えてみよう! 
  • 内 容  法話、質疑応答など
  • 会 費  1,500円(1ドリンク代込) 
◎3月の『くらしき仏教カフェ』
  • 日 時  3月16日(日)午後3時〜
  • 会 場  夢空間はしまや(倉敷市東町1-20)
  • 講 師  天野こうゆう(高蔵寺住職)
  • 内 容  法話、仏教解説、質疑応答、プチめい想など
  • 会 費  1,500円(お茶代込)
  • 申 込  086-422-2564(必ず予約をお願いします)



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2014年3月13日木曜日

新しいことはあとでいい

今週は毎夜、里庄町のお寺に参っています。お釈迦さまの亡くなられた日に涅槃図を祀り供養をする『常楽会・じょうらくえ』にて法話を勤めるためです。

近ごろでは半日くらいの法要が一般的ですが、ここの供養は一週間つづきます。その供養のあとに1時間弱の法話がつくのです。合計で6座。4年に一度の大役、今回は私にその任務が当たったわけです。

夕方に出かけて夕食のお接待をうけ、総代さんや副住職さんと出番まで歓談します。出番だけにサッと出向いて講演する昨今には珍しいゆったりとした時間が流れます。ここの副住職さんは26才。まだ高野山から下りてきたばかりの青年です。私は25才で住職に就きましたから、なるべくその当時の話を振り返ってお話をするようにしています。


住職という立場は、これといって答えのある仕事ではないのですが、今の彼に言えることは「先代から伝わる古式だけを維持存続させること」「いま一番面倒臭いと想うことを大事に丁寧に取り込むこと」「新しいことはあとでいい」です。若い野心で軽率に古式を壊すとかならず後悔します。私がそうでした。ボクならばこうするよ……その程度のことは先人もとっくに取り組んできたことだと言い聞かせて、古いやり方を野暮ったく手間をかけて続ける。それはどの道にも言えることだと思います。


◎すべての疲れた大人のための法話会 『抜苦与楽〜ばっくよらく』
  • 日 時  3月15日(土)午後8時〜
  • 講 師  天野こうゆう(高蔵寺住職)
  • テーマ  3月は「ご縁」について考えてみよう! 
  • 内 容  法話、質疑応答など
  • 会 費  1,500円(1ドリンク代込) 
◎3月の『くらしき仏教カフェ』
  • 日 時  3月16日(日)午後3時〜
  • 会 場  夢空間はしまや(倉敷市東町1-20)
  • 講 師  天野こうゆう(高蔵寺住職)
  • 内 容  法話、仏教解説、質疑応答、プチめい想など
  • 会 費  1,500円(お茶代込)
  • 申 込  086-422-2564(必ず予約をお願いします)



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2014年3月12日水曜日

作家と職人

作家と職人、これは「似て非なり」です。私は最近「職人になりたい!」と強く思うようになりました。

こんな話があります。ある陶芸家に弟子入りした男がいました。厳しい修業をしてなんとか一人前になりました。もう1人の男は職業訓練校に入り、工業製品を作る陶芸職人を目指しました。一見、アートなら前者、商売なら後者に映ることでしょう。

陶芸家のほうはオリジナルを生み出すことに懸命でした。職人のほうは毎日、何百個も同じ物を作るのに懸命でした。陶芸家は焼き上がった物をみて気に入らないと叩き割りました。職人は焼く前に気に入らない物は砕いて、水に浸して土を再利用しました。来る日も来る日もお互い懸命でした。

結果、作家は1つの作品に意味をつけて売り出すことに夢中になり、職人は数多くの作品を世の中に送り出すようになりました。出足こそ、作家の作品の希少価値で評価は跳ね上がりましたが、その作家の「人となり」が鼻について下落していきました。一方、職人の作品は無の境地、思惟が感じられない作品として手にする人は高い評価を与えました。

1つの作品に付加価値をつけ高く売る作家。多くの同じ作品を生活の中に溶け込ませた職人。材料のコストも永く愛される作品も職人のほうに軍配が上がりました。



ニセの作曲家問題が明るみ出て世間を騒がしていますが、とあるラジオで音楽評論家が「音楽を人間が作るなんて勘違いしてはいけない。意図はなく人生より永く生き続けるもの。音をカタチにするということは自然の天地万物を表現させてもらっているのと同じである」と語っていましたが、まさにその通りだと思います。売るとか、有名になるとか、そんな小手先では続かないのです。

あの作曲家(?)は会見で弁明に終始し、我が身を陥れた人についての名誉毀損を訴えていましたが、あそこで「勝負あった」でしょう。「結果は残念ですが、みんなで素晴らしい音楽をカタチにすることが出来ました。皆さんは私ではなく、楽曲を愛し続けて下さい。そのお邪魔をして申し訳ありませんでした」で善かったと思います。

◎すべての疲れた大人のための法話会 『抜苦与楽〜ばっくよらく』
  • 日 時  3月15日(土)午後8時〜
  • 講 師  天野こうゆう(高蔵寺住職)
  • テーマ  3月は「ご縁」について考えてみよう! 
  • 内 容  法話、質疑応答など
  • 会 費  1,500円(1ドリンク代込) 
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  • 日 時  3月16日(日)午後3時〜
  • 会 場  夢空間はしまや(倉敷市東町1-20)
  • 講 師  天野こうゆう(高蔵寺住職)
  • 内 容  法話、仏教解説、質疑応答、プチめい想など
  • 会 費  1,500円(お茶代込)
  • 申 込  086-422-2564(必ず予約をお願いします)



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2014年3月11日火曜日

私でなければ

お坊さんはいろんな場所で「おもてなし」に敏感です。お参りした家、法事の席、講演会の楽屋、タクシーの車内、葬儀会館の控え室にいたるまでさまざまです。お迎えの笑顔、温かいおしぼりやお茶、何気ない慰労の言葉……ちょっとした気遣いにホッとするものです。それは悲しみの場面に立ち会うことが多いからこそ、余計に沁みるのかもしれません。

それは決して施しの内容ではなく、それを提供する側の「姿・カタチ・心」のあるのだと思います。たとえば倉敷の中央斎場。地方にしてはたいへん近代的で大きな斎場です。ごく形式的な流れの中で日々、淡々とご遺体の荼毘が行われています。


そこで古くから働いておられる1人の男性スタッフは、どんなに急いでいても私をみると足を止め、小さな声で「ご苦労さまでございます」と礼をされ、決して愛想笑いをしたり、無駄口をすることはありません。それは最小限のもてなしですが、その機敏な態度には「私でなければ」という任務へのプライドが滲み出ていて、彼に接するとスッとした気持ちになります。

ただモノやコトバを提供すればいい……日本のおもてなしはそうじゃない。マニュアルで作られたサービスとは違うのでしょうね。「私でなければ」と胸を張って全うし、周囲から常に「あなたでなければ」といわれる立場でありたいものです。

◎すべての疲れた大人のための法話会 『抜苦与楽〜ばっくよらく』
  • 日 時  3月15日(土)午後8時〜
  • 講 師  天野こうゆう(高蔵寺住職)
  • テーマ  3月は「ご縁」について考えてみよう! 
  • 内 容  法話、質疑応答など
  • 会 費  1,500円(1ドリンク代込) 
◎3月の『くらしき仏教カフェ』
  • 日 時  3月16日(日)午後3時〜
  • 会 場  夢空間はしまや(倉敷市東町1-20)
  • 講 師  天野こうゆう(高蔵寺住職)
  • 内 容  法話、仏教解説、質疑応答、プチめい想など
  • 会 費  1,500円(お茶代込)
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2014年3月10日月曜日

永く心を寄せて

そろそろ震災のことにふれようと想いながら、書きかけては手が止まり……ん? いつしか書いたことのあるような気がして振り返って見ると去年と同じ書き出しでした。深く考えても「あの時」と気持ちは変わっていないので、加筆訂正で再度アップします。画像も同じです。

11日を軸に「忘れないで」という国を挙げてのキャンペーン。忘れてはいけないけれど、忘れたいこともある。「お前は西日本の人間だからそんなことが言えるんだ!」と叱られたこともあります。でも関西も大きな地震がありました。当山もそれがきっかけで旧客殿がたいへん危険な状態まで傾き、境内の大改修を余儀なくされました。檀家さんのつながりで倉敷の斎場で、何十ものご遺体を目の当たりにして、遠くから(条例の関係で一宗教が近くで祈ることが許されなかった)1日中供養を捧げた経験もあります。

積極的にボランティアに参加した僧侶はその土産話に酔い、私のように地元に残って後方支援にあたった者は行動力のなさを責められたものです。その溝は未だに埋まらず、そのバランスは元に戻ることはありません。


何も出来やしない。この気持ちからどんどん皆さんの心の方向がバラバラになって善悪を決めつけて、誰かのせいにしようとすることは避けなければなりません。自らが乗っている船の底を傷つけて沈没させようとする人はいないのです。みんな最善を尽くしている。そして心から哀悼を捧げている。

陛下のおっしゃった「永く心を寄せて」というお言葉を私は何度も繰り返し、この3年を過ごしてきました。でもやっぱり「忘れない」という気持ちを強くすると、どうしていいのかわからなくなってしまいます。そんなときには素直に「忘れよう」と言い聞かせています。

この3.11、高蔵寺では特別ないたしません。いつもと変わらず……を祈りを積み重ねる。そんな立場でありたい、そう願っています。


◎すべての疲れた大人のための法話会 『抜苦与楽〜ばっくよらく』
  • 日 時  3月15日(土)午後8時〜
  • 講 師  天野こうゆう(高蔵寺住職)
  • テーマ  3月は「ご縁」について考えてみよう! 
  • 内 容  法話、質疑応答など
  • 会 費  1,500円(1ドリンク代込) 
◎3月の『くらしき仏教カフェ』
  • 日 時  3月16日(日)午後3時〜
  • 会 場  夢空間はしまや(倉敷市東町1-20)
  • 講 師  天野こうゆう(高蔵寺住職)
  • 内 容  法話、仏教解説、質疑応答、プチめい想など
  • 会 費  1,500円(お茶代込)
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2014年3月9日日曜日

戒名は水墨画

おもしろためになる『拝、ボーズ!!podcast』の最新版が更新されました!ぜひお聴き下さい。

さて、戒名は「人が仏になるため」の大事な名前です。今では金銭的な部分だけギャーギャー言われがちですが、本来は信仰があって修行を求める人に対して、師匠が与える名前(戒律を守るという約束の名)です。ですから、昨日今日出会って、ポンとお金で買えるものではないのです。誤解を恐れずいえば、アイドルを目指す子が、大尊敬する師匠に認められて、デビューが約束された芸名みたいなものです。それに対して弟子はあれこれは不平は言わないでしょうし、実力のない人はそのチャンスはないのと同じです。決してk

先日、96才のおばあちゃんが旅立ちました。喪主は息子さんでした。若くしてご主人を亡くして女手ひとつで子供を育てて生涯を閉じました。遺族は「ここまで苦労してきたし、ぜひ親父と同じ霊位(戒名の格)をつけてやって欲しい」と懇願されました。私は快諾して、その家の過去帳を開きました。



おばあちゃんのつれ合いは、昭和17年没、行年28才の若さで亡くなっていました。もう60年以上も前の戒名でした。振り返ると、先代が高蔵寺へ入山したのが昭和10年です。まだ若き頃の師匠が授けた戒名でした。

師匠はいつも「戒名は水墨画のようなもの。夫婦なら2つで1つ、一対で壮大な絵が拡がるような戒名をお授けしなさい」と言っていました。師匠が若かりし頃につけた夫の戒名に、私が妻の戒名をそえる。時を越えて、まるで画賛(描かれた絵に対して、他人が讃える句を入れること…それを自分でやっちゃ格好悪いよという風刺から生まれた言葉が「自画自賛」)のような感覚。

この場でその2つの戒名を紹介することは出来ませんが、法話会ではぜひ(これまでの絵画的な戒名を)ご披露して壮大な絵を味わっていただけたらと考えています。そういう角度から「戒名」を眺めると歴史やセンスが沁みてきて、別のすばらしい価値観が備わると思います。

◎すべての疲れた大人のための法話会 『抜苦与楽』
  • 日 時  3月15日(土)午後8時〜
  • 講 師  天野こうゆう(高蔵寺住職)
  • テーマ  3月は「ご縁」について考えてみよう! 
  • 内 容  法話、質疑応答など
  • 会 費  1,500円(1ドリンク代込) 
 
◎3月の『くらしき仏教カフェ』
  • 日 時  3月16日(日)午後3時〜
  • 会 場  夢空間はしまや(倉敷市東町1-20)
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2014年3月8日土曜日

Re.高野山

1月は「行く」、2月は「逃げる」、3月は「去る」といいます。私が高野山の道場に入ったとき、教官から「在家(一般)ならそれでええ。僧分なら、1月は祈る、2月は担う、3月は捧げる……この精神を忘れるな!」と教わったものです。念頭の3ヶ月をどう過ごすかが大事。

1月はとにかく1年の安泰を心から祈りきる。2月は何事も寒さで億劫になるのだから、人の分まで任務を担え。3月はそれまで養ってきた徳分を捧げきれ。今でも頭から離れない教えです。そして「この3ヶ月で1年は決まる」と言い聞かせて行じるようにしています。



高野山での3月は春がくるワクワク感とまだ先の見えない寒さとの合間にゆれる時期。彼岸が近づくと観光客も増えて賑やかになってきます。行者は、月末を機に山を下りる者もいれば、もう1年頑張ろうと居残る者もいる。悲喜交々の一ヶ月。

いま振り返れば懐かしいのひと言。あのときに戻りたいかと言われると……う〜ん、まだ今は足りていますと答えてしまうかな(笑)

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2014年3月7日金曜日

お仏壇と自律神経

私は「帰依」について説明するとき、「心の拠り所」という表現をします。靴はゲタ箱に、服はタンスに、身体はベッドに、心はお仏壇にと喩えます。朝、仏前で手を合わせて身体と心を1つにして、夜、就寝前に感謝の手を合わせて心を仏さまにお返しする。お仏壇はそういう役割であるから必要なんだと切り出しますと、興味を持って聴いて下さいます。

自律神経についての専門書籍を読んでみますと、夜間、無意識に交感神経が働いて心身をリフレッシュしてくれているのだと記されています。心臓や血流は無意識で働き続け、その命令をそれらの神経がつかさどっており、こと胃腸は他の内臓が働いているときに休み、他が休んでいるときに働いているそうで、夜ゆっくり睡眠することはそれらを正常に整える役割があるのだそうです。


まだまだ私の研究は序の口なので結論をみませんが「帰依」と「自律神経」は同じ源流にあるのかもしれません。また仏教の戒律や断食、怒りのコントロール方法はこのあたりの分野と密接な関わりがあるのではないかと思います。そしてこの角度からお仏壇をみますと、こと密教においてはそれが言えるかも……です。上手くまとまりませんが、徐々に結びつけてお話ししたいと考えています。お楽しみに。

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2014年3月6日木曜日

やっちゃいけないのには訳がある

昨日、ラジオで「靴のカカトを踏んではいけない理由」を専門家が話していました。カカトが不安定だと足に負担が増え、成長に影響が出るのだとか。靴は後ろをホールドさえていないと、前のめりに体重がかかって過労となるそうです。だから今流行りのカカトのないタイプの靴は、疲れが蓄積しやすいから長時間履き続けることは避けたほうがよい。そこから発育に影響が出たり、腰痛を発症したりするそうです。また、このタイプが売れるのは日本が履物では脱いで家屋に上がる習慣からだそうで、日本独特のスタイルとなりつつあるとか。ツッカケも日本が世界一のバリエーション誇るのだそうです。

この放送で面白かったのは「昔からやっちゃいけないということにはちゃんと意味があるんです」という結論づけです。科学的な根拠もふまえて子供たちに紹介すればいろんな謎解きと教育が出来そうな気がします。

  • 建物の中では帽子は脱ぎなさい
  • 新聞を踏んではいけません
  • 食べながら歩いてはいけません などなど

たくさんありますよね。個人的にはこういう雑学をお坊さんすると説得力が増すような気がします。そんな書籍はないものでしょうか。



それにしても、よくよく考えるとツッパリって「やっちゃいけないことをする美学」だから、注意されることをやるのでしょうね。かつて私もそうでした。そういえばガニ股も体にはよくないそうです。出来るだけ内股を意識すると健康になるのだとか。これも受け売りですが、イスに座った際に足をきちんと揃えて膝を意識的に密着してみてください。しばらくしていると、内ももにかなりの負担がかかってブルブルします。ここを鍛えると歩行がキレイになり、胃腸も整い、腰痛がとれるのだそうです。お試しあれ。

【告知】明日の縁日よりすべての開始時間が10時に統一されます。明日7日(金)は朝10時から本尊縁日『お薬師さん』です。薬師護摩と法話を行います。ご注意下さい。

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2014年3月5日水曜日

本当のファインプレー

去年の7月から岡山放送で『もんぜんまっぷ』という街ブラ番組に出演しています。NMB48の女の子と「坊さん×アイドル」の異色コラボが話題になっています。

ロケは見た目とは違い、かなり過酷です。スタッフは昼食(休憩)に「個室で靴(私の場合は草履w)の脱げる畳の部屋」を探してくれます。そこで美味しい温かい物をいただき、足をのばし、少しだけ横になる。これで後半のパワーチャージをするわけです。もちろん前半の反省や後半の打ち合わせやアイデアも話し合います。



画像は先日のロケのランチ会場にあった席札です。正直クタクタでした。スタッフ一同、会話も少なく席に着いたときに目に飛び込んできました。みんなで「わー、すごい!」と叫んでしまいました。スタッフの一人が「これだけのことがなかなか出来ませんよね……」とポツリ。その通りだと思います。いらぬひと言は多く耳(目)にしますが、手間をかけて一つのメモで元気が与える。ファインプレーとはこういう行いを言うのだと思います。

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2014年3月4日火曜日

耳の日にちょっとイイ話

昨日は3月3日、「耳の日」でした。そんな朝、見知らぬ方から御礼メールが届きました。法話のメルマガ『ほほえみ法話』の復刊を喜んで下さっている内容で、うれしく拝見しました。

はじめましてメルマガの一読者です。ほほえみ法話のメルマガが昨日から再び届く様になってとても嬉しいです(^o^) 2010年9月から拝聴させていただいています。単文で拝聴しやすく、かつ心に残る文章なのでとても気に入っています♪ 毎朝届くメルマガを拝聴させていただいているお陰で仕事が辛い時や人間関係に悩み落ち込んでも乗り越えることが出来ています♪

ここまで読んでふと疑問がわきました。メールなのに「拝聴」という表現が続き、文末には「♪」が多いのです。ひょっとしたらタイプミスかも?と思いながら読み続けると最後はこう括られていました。

私は生まれた時からの全盲ですので、音声対応の携帯でメルマガを拝聴させてもらっています♪ 届くのを毎回楽しみにしておりますので、今後とも末長く宜しく御願いしますm(_ _)m

メルマガは短い言葉を綴るだけの作業の繰り返しです。毎朝読んでいただき、ちょっとだけホッとしたりハッとしてもらえたら……そう願って続けてきたこと。その読者の中には、耳で読んで下さっている方もいらっしゃることに驚き、心から感動しました。毎日、気軽にメールやチャット、メッセージを一方的に書き綴っていますが、ひと言、ひと言、丁寧に読み解いて下さっているのだと思うと一語の大切さに身が引き締まる想いです。


耳で読む人、目で聴く人、肌で悟る人……さまざまな感受があることを忘れてはなりませんね。

2014年3月3日月曜日

禍を転じて福となす

昨日の補足。「写経」をするにあたって一番大切なことを忘れていました。それは「明かり」です。灯明も必要ですが、それ以上に手元の明かりが大事。光量で集中力が変わります。昔と違い、照明の明るさは現代人にとっては不可欠なもの。自然光なら窓際がベストです。また見て写すのか、透かして写すのかでも明かりの役割は変わってきます。

さて、今週もポッドキャスト版の『拝、ボーズ!!』が更新されました。これはエフエム倉敷で14年も続いているバラエティ法話番組です。私と噺家であり僧侶の桂米裕さんとでかけあいトークをしながら法話を展開するという内容です。台本は一切なしでテーマを決めて手探りのまま進行していきます。笑いながら仏教が学べますので、ぜひきいて聴いてみてください。

◎『拝、ボーズ!!podcast

この番組で先週話題となった「厄払い」。神社のそれと真言宗とでは何が違うのか?かなり突っ込んだ内容となりました。詳しくは聴いてもらいたいのですが、文章にすると理解しやすいので簡単に記しておきます。



世間一般に節分前後にその年の厄を払い、1年の無事を祈ります。神社では「払いたまえ、浄めたまえ」と簡潔にその儀式が執り行われます。真言宗で「星供養/ほしくよう」と呼び、寺院によっては一週間の連続祈祷を行います。その違いは何か?

神社では「払い」に重点を置いていて、その人に積もっている汚れを浄めて善しとします。一方、寺院(真言系)ではその「厄」も自身から発生したモノとみなして、それらを毒から薬へと転化させる祈祷が成就させて吉とするのです。「禍を転じて福となす」とはここから発生した諺です。

どちらに優劣があるか?という問題ではなく、コリをほぐすマッサージの如く、今の疲れを癒やすのか、根本の体質改善を施すのか。そういう違いだと認識しておけばいいでしょう。

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2014年3月2日日曜日

写経はお手軽?

このところ「写経」についてよく訊ねられます。まとめるとこんな感じです。
  1. どこで学べるのか?
  2. 作法はあるのか?
  3. 何を揃えたらいいのか?
  4. 家でもできるのか?
  5. 毛筆じゃないとダメなのか?
即答するとこうなります。
  1. お寺やカルチャーセンターで学べる
  2. あると言えばある
  3. 写経用紙と書道用具
  4. できると言えば出来る
  5. ダメじゃないけど毛筆がよし
ってな、感じです。深く問うとこうなります。
  1. 学ぶのは、継続?一回かぎり?
  2. 信仰心はある?
  3. 身近な文具店にある物で?本山指定の本格的な物で?
  4. 仏間で?リビングで?
  5. 子供?高齢者?それ以外?

こんな例話があります。平安時代、貴族の妻が病気になりました。貴族は僧侶の指導を受けて21日間、懸命に写経をしました。そのようすは正に謹写でした。無事に書き上げましたが、妻の病気は治らず、その夜から毎晩、口のない幽霊が現れるようになりました。貴族は驚き怯えました。そのことを僧侶に相談すると、僧侶は書き上げた写経をもう一度チェックするように指示をしました。一枚、一枚見直してみると、その中の一文字、「如」という漢字の「口」が汗で消えていました。口のない女……それが幽霊の正体でした。貴族はその「口」を謹んで書き記しました。すると光り輝き、妻の病はたちまちに治ったと云います。


要は取り組む姿勢と篤信の差によって異なるわけです。「まずはやってみよう!」と気軽を口にしがちだけど「本式をしってしっかりに取り組むこと」が大事だと思います。お経はは御仏のお声でありお言葉です。それを知って写経すると利益の拡がりが違います。

高蔵寺では『お寺カルチャー』を開催しています。住職の空いている時間ならいつでも「おとな寺子屋(写経・座禅・作務・勤行)」「仏さま作り(陶芸or書画)」「お香講座」「仏事講座」「お遍路講座」など、2名からどなたでも受講できます。「お寺で気軽に」を合い言葉として、略して『おてカル』、どうぞご利用下さいませ。

◎高蔵寺カルチャー講座『おてカル』 
  開 催 随時(所用時間は2時間程度)
  会 場 高蔵寺客殿(岡山県倉敷市中島186高蔵寺内)
  内 容 おとな寺子屋(写経・座禅・作務・勤行)
      仏さま作り(陶芸or書画)
      お香講座
      仏事講座
      遍路講座
      いずれかお選びください。
  会 費 1講座、3,000円(別途、材料費、テキスト代が必要な場合があります)
  申込み メールにて(お問合せも)

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2014年3月1日土曜日

復刊します。。。

その昔、思うところを毎日『法話な日記』としてつづっていました。文字だけのブログで15年以上。当時は高機能なサービスはなく『さるさる日記』とかいう日記システムでした。(さるさるだなんてすごいタイトルですよねw)まだ画像を貼り付ける技術すら皆無だった。

プチ法話のメルマガは毎日配信して続けて3,000号を越えています。ここでの言葉が日めくりや文庫になりました。去年でやめちゃいましたが、こちらは保留状態でまだ生き続けています。


いま思えば「よくやってたなぁ」という気持ちが正直なところ。その甲斐あっていろんなご縁がつながりました。しかしSNSの拡大やスマホへの移行を理由にいつしかフェードアウト。それはきっと言い訳でしかなく……横着が根本原因です。

いま自身法話のネタが200以上あるのも、書画で言葉を描くのも、法話会が盛り上がっているのも、見知らぬ人と仏教でつながっているのも、すべてこれが原点だったような気がします。このところ他人に「何かやりなさいよ!」とハッパばかりかけてきて、当の本人はのんびりしすぎたような気がして、今日からちょっとづつ昔を取り戻したいと心に決めました。(2014年3月1日午前6時31分現在…変化する予定おおいにありw)

自分に課せるルールは簡単、以前と同じ。

  • なるべく毎日つづる
  • 1,000文字以内
  • 坊主のくせにと言われても気にしない
  • 本音のみキレイゴトはなし
  • 実際の話が聞きたくなる

というわけで復活したわけですが、最後の配信から1年以上経つわけで、環境は大きく変わりました。アスリートが引退してから現役復帰を目指すたいへんさがちょっとだけわかるような気がします。それでも毎月1日には何度も「今月から!」と意気込んでいました。

ようやく一念発起、『法話な日記』あらため『もんぜんほうわ』、本日からいよいよ復刊します。原点に戻りますので、末永くよろしくお願いいたします。皆さんお変わりありませんか?

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