2014年11月27日木曜日

知りすぎて地獄を彷徨う

本日は月例祈願の日『お不動さん』です。午前10時から本堂にて。護摩行と法話を勤めます。ぜひお参りくださいませ。

しばらくこの法話も間が空いてしまいました。11月はどうしても出仕(よそのお寺への手伝い)が多くて留守をしがちになってしまいます。同時に『うたかたり』の公演や法話会も続きました。そろそろ落ち着きますので、またよろしくお願いいたします。

留守中、ある事件がありました。事件といっても些細な事。でも考えれば考えるほど、気味悪く最悪の事態に想像が傾く出来事でした。

10月から境内東側のスペースの土地改良が始まっています。もともとあった無縁仏の合肥を移転して、駐車場の拡大をしています。その前に排水や土壌の改良を進めているのですが、11月に入り一旦工事を中断することになりました。事情は、業者の連携問題で「お手すきの時に」という条件だったので想定範囲内のことでした。大きな重機(油圧ショベル)を1台、次の工事まで置かせておいて欲しいと言われ、断る理由もなく快諾しました。

ところが先週のことです。庭掃除していた母が「動いとる!動いとるで!」と駆け込んできたのです。見に行くと、ショベルが50センチほど動き、立入禁止のコーンをグチャッと潰しているではありませんか。その痕跡に正直ゾッとしました。何者かが侵入し、重機を動かそうとしたのです。なぜに? こういう時の脳みそは恐ろしい回転をするものです。


・長らく放置されている重機をみて何者かが盗もうとした。
・10代の若者によるイタズラの疑い。
・いや、それはきっと外国人の仕業である。
・なぜなら外国では高く売れる。
・それとも解体して材料として金品と替えようとしたのか。
・寺を面白く思わぬ勢力が、重機を動かして破戒しようとした。
・窃盗団がATMを破壊するためか。

などなど、自分でも呆れるほどの不安要素と事件性がどんどん沸き出るのです。これに家族の補足も加わり、ついには自警団の設立までに発展していきました。こういう時は得てして、重機の持ち主に連絡が遅くなるものです。ハッと我に返り「すぐに確認を!」とお願いしました。すると……温度差で油圧が変化し、自然現象として誤作動しただけのこと。この種類の動きは、現場では日常茶飯事だと一笑されてしまいました。

とんだ勘違い、赤っ恥でございます。笑い話で済んでよかったと苦笑いをしながら、人の不安など「こんな繰り返しかもなぁ」と独り納得してしまいました。情報が多くてもが貴苦しむ。知らぬが仏と云いますが、現代は「知りすぎて地獄」なのかもしれませんね。

0 件のコメント:

コメントを投稿