2014年8月6日水曜日

昔ながら…を大切に

またお墓についての番組がありました。今度の講師は浄土宗のお坊さんでした。同番組で連続ですから力の入れようがうかがえます。同時に難しいテーマに踏み入れてしまったのかも知れません。視聴者からすれば、前回の講師と今回の講師のご意見は統一されているものなのか? はたまた一礼として上書きされる情報なのか? 悩ましいところです。ただ一つ言えることは、ゴールデンタイムのスペシャル番組で、これによってこの時期の現場(檀信徒の話題)には物議を醸し出すことは必至です。

今回は「墓地への夜のお参り」「墓地での記念撮影」「幽霊の存在」「供物を持ち帰って食す」などについて語られていました。いずれも私が真言宗の立場で説いていることとは大きく異なりました。講師以上に責任があるのは番組を作る側です。従来の間違った慣習をベースに浅はかなイメージを確立してはならない。テレビ的なんて方便はいりません。やっぱりそこには無理が出てくるのです。

日本仏教は近年、世間が作り上げたイメージで独走しています。そこに本来の意味は死滅しています。そこから真を説こうとしても、それは大勢に呑みこまれてしまいます。以前にも記しましたが、今から100年前は今のような情報伝達はありませんでした。地域の風習やしきたりは方言の如く守られてきました。それが今ではたった1回の放送(情報発信)で東西新旧の文化は逆転して統一されてしまいます。いくら地方で声を大にして訴えても、大きなメディアから発せられるとそれが正論となってしまう時代です。

そんなに力むことはないよ……と思われるかもしれません。でも外来種の増殖でその土地固有の動植物が絶滅するが如く、地域から「昔ながら…」が薄れ、本来の意味もどんどん消えているのです。もうかなり意識しなければ、多勢に流されてしまう時代に入っています。各菩提寺、各地域、各家の「昔ながら…」を正否ではなく、まずは補完してほしいと切に願います。私自身、メディアでの発信も行っていますから、その難しさはじゅうぶんに知っているつもりです。かなり慎重に時間をかけて作り上げないといけません。その点、今回は突貫工事的な作りを感じてしまいました。

この話題はもうこれにておしまい。多方面から見解を訊かれるので記しておきます。私は私に関わる方々にしっかり説いていこうと思います。

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