2014年7月28日月曜日

間違いだらけの「知っておきたいお墓参り」

昨日のお護摩はさすがに灼熱でした。参拝の皆さんもさすがに護摩壇から離れての読経です(笑)蝉の声と競う堂内は夏本番の様相です。蝉は7年くらい地中に居るといいますから、きっと太鼓や読経はいつも聞いていたのでしょう。太鼓に合わせて鳴いているように聞こえてなりませんでした。

そろそろ巷ではお盆の準備に入ります。テレビでも『お盆特集』が放送されるようになりました。先日も「知っておきたいお墓参り」というテーマの番組がありました。ちょっと興味があったので拝見しました。講師は墓石組合の偉い人でした。

冒頭「お墓の真意は?」を説くのかと思いきや、いきなりクイズ形式で進行して一抹の不安を覚えました。お墓の役割をじゅうぶん理解せずに作法に走ると必ず歪みが生じます。これは仏事全般にいえることなんですが……。

5つほどの問題があったと思います。中でも驚いたのが「霊園で他人の名前を記載している水桶を使ってもよいか?」という質問。答えはもちろん。当たり前ですよね、他人様の道具なのですから。作法やマナーではなく道徳の問題です( ̄。 ̄;)

つぎの問題が「墓石に水をかけたらそのままにしておいてよいか?」で、答えは×。墓石は女性の肌より敏感だから必ず拭き取るべし…だそうです。この理屈なら雨上がりには毎回タオル持参で墓地に行かねばなりません。私は女性の肌のほうが敏感だと思います(笑)

それから「お墓に供えた供物は持ち帰って食べてよいか?」という質問。根本、墓参は施餓鬼供養ですから、、食べるなんて言語道断、信じられない行為です。地域によっては飢餓で苦しんだ歴史から、食べて「鬼の子のように強くなれ」という異例もみられると云いますが、基本は持ち帰ったとしても食べません。本当は一晩そのままにして翌朝片付けるのが作法です。しかし番組では「先祖と食を共有する文化である」と言い切っていました。

こういうことが全国で放送されて、真に受ける人が出てくるわけです。よく生物の絶滅危惧を憂う話題がありますが、風習や作法は情報氾濫により一気にバランスを崩し、間違いが正統として拡がり始めます。信仰や仏事においては、決して東京が上位ではなく、東日本のほうが近年の歴史であることは認めなければならない事実です。1000年以上続く、奈良・京都を西日本の仏教儀礼文化こそが日本の真、安っぽい番組の屁理屈に流されてはいけません。

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