2014年3月12日水曜日

作家と職人

作家と職人、これは「似て非なり」です。私は最近「職人になりたい!」と強く思うようになりました。

こんな話があります。ある陶芸家に弟子入りした男がいました。厳しい修業をしてなんとか一人前になりました。もう1人の男は職業訓練校に入り、工業製品を作る陶芸職人を目指しました。一見、アートなら前者、商売なら後者に映ることでしょう。

陶芸家のほうはオリジナルを生み出すことに懸命でした。職人のほうは毎日、何百個も同じ物を作るのに懸命でした。陶芸家は焼き上がった物をみて気に入らないと叩き割りました。職人は焼く前に気に入らない物は砕いて、水に浸して土を再利用しました。来る日も来る日もお互い懸命でした。

結果、作家は1つの作品に意味をつけて売り出すことに夢中になり、職人は数多くの作品を世の中に送り出すようになりました。出足こそ、作家の作品の希少価値で評価は跳ね上がりましたが、その作家の「人となり」が鼻について下落していきました。一方、職人の作品は無の境地、思惟が感じられない作品として手にする人は高い評価を与えました。

1つの作品に付加価値をつけ高く売る作家。多くの同じ作品を生活の中に溶け込ませた職人。材料のコストも永く愛される作品も職人のほうに軍配が上がりました。



ニセの作曲家問題が明るみ出て世間を騒がしていますが、とあるラジオで音楽評論家が「音楽を人間が作るなんて勘違いしてはいけない。意図はなく人生より永く生き続けるもの。音をカタチにするということは自然の天地万物を表現させてもらっているのと同じである」と語っていましたが、まさにその通りだと思います。売るとか、有名になるとか、そんな小手先では続かないのです。

あの作曲家(?)は会見で弁明に終始し、我が身を陥れた人についての名誉毀損を訴えていましたが、あそこで「勝負あった」でしょう。「結果は残念ですが、みんなで素晴らしい音楽をカタチにすることが出来ました。皆さんは私ではなく、楽曲を愛し続けて下さい。そのお邪魔をして申し訳ありませんでした」で善かったと思います。

◎すべての疲れた大人のための法話会 『抜苦与楽〜ばっくよらく』
  • 日 時  3月15日(土)午後8時〜
  • 講 師  天野こうゆう(高蔵寺住職)
  • テーマ  3月は「ご縁」について考えてみよう! 
  • 内 容  法話、質疑応答など
  • 会 費  1,500円(1ドリンク代込) 
◎3月の『くらしき仏教カフェ』
  • 日 時  3月16日(日)午後3時〜
  • 会 場  夢空間はしまや(倉敷市東町1-20)
  • 講 師  天野こうゆう(高蔵寺住職)
  • 内 容  法話、仏教解説、質疑応答、プチめい想など
  • 会 費  1,500円(お茶代込)
  • 申 込  086-422-2564(必ず予約をお願いします)



◎毎日、プチ法話(メルマガ)が届きます。ぜひご登録を『ほほえみ法話
◎フェイスブックやっています『天野こうゆうのFacebook
◎爆笑法話はいかがですか?『拝、ボーズ!!podcast

0 件のコメント:

コメントを投稿