しかし地方には、この古式を辛抱強く護持しているお寺も存在します。今回お世話になったお寺もその一つ。法話の開始は夜の8時以降、しかし毎夕5時台には会所(えしょ=会場となるお寺のこと)に入り、ご馳走のお接待を受けます。ここで遠慮は御法度、能化(のうけ)として最大の施しを受けきることが会所の徳を上げることになるのです。
能化とは「のうけ」と読み、能く教化(きょうけ)をする者という意味で、ここでは法話をする布教師を指します。今のように交通の便がよくなかった時代には1週間、会所に滞在し、さまざまな接待や供養のお手伝いをしながら出番を待ったと云います。
能化には専属の若い僧侶と総代が「給仕(お接待係)」として付きます。ふだん独りでのびのび講演を渡り歩いているとなんとも窮屈な状況ですが、慣れてくるとこの古式にも深い意義を感じるようになります。
さて涅槃会(ねはんえ)は、お釈迦さまの最期を偲ぶ法要で、高野山では「常楽会(じょうらくえ)」といい、備中地方では「おねはんさん」などと呼びます。夜を徹しての法要が一般的でしたが、今では(半日程度)日中に営むお寺も多くなりました。参拝者は、お釈迦さまの威徳をいただき、涅槃についての説法を涅槃図の前で拝聴します。
私は以前、この涅槃図は自分の画法で襖に描いていたこと(天野こうゆう『仏涅槃図』製作日記)があります。何気なく涅槃図を眺めているだけでは気づかないことが描くことで知ることができました。入滅なさったお釈迦さまをを囲み、いろんな者たちが悲しみに暮れています。動物から羅漢、神々まで集っています。その表情はその立場によって違います。それはまるで「アナタは痛烈な悲しみに直面したとき、どんな姿でそれを受けとめますか?」と問いかけているかのように見えてきます。七転八倒している者から、心静かに合掌して微笑んでいる者までさまざまです。それは悲しみに直面したときの修行段階、その者の心のようすを映し出しているのです。覚悟とは正にその心象、「覚る、悟る」と表現するのはその部分を強調しているかのようです。
今日は児島のお寺の『涅槃会』に出仕してきます。そして夜は以下の法話会です。ぜひお運び下さい!
◎すべての疲れた大人のための法話会 『抜苦与楽〜ばっくよらく』
- 日 時 3月15日(土)午後8時〜
- 講 師 天野こうゆう(高蔵寺住職)
- テーマ 3月は「ご縁」について考えてみよう!
- 内 容 法話、質疑応答など
- 会 費 1,500円(1ドリンク代込)
◎3月の『くらしき仏教カフェ』
- 日 時 3月16日(日)午後3時〜
- 会 場 夢空間はしまや(倉敷市東町1-20)
- 講 師 天野こうゆう(高蔵寺住職)
- 内 容 法話、仏教解説、質疑応答、プチめい想など
- 会 費 1,500円(お茶代込)
- 申 込 086-422-2564(必ず予約をお願いします)
◎毎日、プチ法話(メルマガ)が届きます。ぜひご登録を『ほほえみ法話』
◎フェイスブックやっています『天野こうゆうのFacebook』
◎爆笑法話はいかがですか?『拝、ボーズ!!podcast』
0 件のコメント:
コメントを投稿